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YC W15 卒業スタートアップ: 捨てられる薬を活用する『SIRUM』

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SIRUM

 Y Combinatorでは2013年よりNPOの受け入れも開始している。(その際の発表記事はこちら)今回のバッチでは2団体が参加しており、この『SIRUM』はその1つだ。

Stanford大学を拠点とする『SIRUM』は、まだ使用期限内にも関わらず廃棄されようとしている医薬品を必要としている人の元へ届けるという事業を行う。アメリカでは50億ドル分の薬が廃棄されており、一方で5000万人が処方された薬の受け取りを費用が高いことから避けているのだという。その不合理を寄付という形で解決するのが『SIRUM』というわけだ。

廃棄を検討している医療機関はその薬をプラットフォームに登録。セーフティーネット医療機関がそのプラットフォームから必要な薬を選択すると、ドアtoドアで受け取ることができる。各州の"Good Samaritan Law"(聖書の例え話にある"善きサマリア人のたとえ"に由来する)という、無償で善意の行動を取った際に当事者を法的に保護する法律に準拠しており、寄付者の情報は『SIRUM』から公開されることはない。

昨年発表されたYCのスタートアップに対するリクエストには"Diversity"という項目があり、スタートアップもNPOも関係なく、様々な人に対してテクノロジーを提供するサービスに投資したい、という記載がある。ビジネスモデルも考え方も一見異なるNPOとスタートアップが共に事業を考案することで、新たに生まれるものもあるのかもしれない。